2017シーズンを失意のうちに過ごした我が Raiders 。巻き返しを図る2018シーズンは新HCにJ.グルーデンを据えスタッフを一新しました。2015シーズン以来、NFLのスターディフェンダー K.Mack を擁しながらリーグ最低水準にとどまり続けるディフェンスも Cincinnati Bengals より Paul Guenther を迎え再建を図ります。今回は、新シーズンの Raiders Defense の姿を想像する手がかりとして昨シーズンの Bengals Defense を評価してみます。
Bengals Defense 2018
Bengals ディフェンスの基本アライメントは “4-3 College”で、Cocer-1（Safety を一人前線に上げ後方を一人で守る）と Cover-2（Safety を二人とも後方に下げる）を使い分けます。
ディフェンスの基本的な考えとしては、まず後方の守りを厚くしボールを手前（Line of Scrimmage に近い方）へと誘導することにあるようです。「1ヤードたりとも前進させない。1点たりとも与えない」というより「1プレイ毎に4,5ヤード程度進まれるのは許容するがロングゲインを頻回に許すことは避ける。最少失点は許容するが大量失点は避ける」という意思を感じます。
アサイメントおいては、Defensive Front – Linebacker – CB – Safety の各ユニット間の境界が明瞭で Defensive Front 対 Offensive Line 、Linebacker 対 RB/TE 、CB 対 WR のマッチアップを重視しSafety はそのサポートないし冗長性の確保に動くというのが基本方針です。この辺のディフェンスの基本構造は New England Patriots や Pittsburgh Steelers のディフェンスにみられる Front-Linebacker-DB 間の境界が不明瞭な（ハイブリッドな）型と明らかに違っていて興味深いです。
（参考記事：アメフットにおけるディフェンスの２大潮流 ブロンコス型とペイトリオッツ型について）
このディフェンスを観ててまず感銘を受けるのはこのCover-1 と Cover-2 の使い分けの巧みさで、相手オフェンスがランをコールしてくるのを見透かしたようなタイミングで Safety を前線に上げてきます。
NFL 2017
Week 2 @HoustonTexans @ @Bengals
C-2 アライメントからのランサポートhttps://t.co/LDDvX3j7Ps pic.twitter.com/Gzdgpgc7TA— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) May 30, 2018
NFL 2017
Week 3@Bengals @ @packers
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NFL 2017
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カバーもマンツーマンとゾーンを巧みに使い分けています。奥を守る意識がしっかりできていてショートゾーンからディープゾーンへ向かうレシーバーの引き渡しもスムーズで、QBがレシーバーに適切なタイミングでボールを投げ込むことを困難にしています。
NFL 2017
Week 1
Raivens @ Bengals
SS(#43)によるランサポートからフラットゾーンのカバー
（4ショート3ディープ）https://t.co/reACoytyxh pic.twitter.com/OFYQvcTYoi— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) May 30, 2018
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Texans @ Bengals
FSによるランサポートからマンツーマンカバーhttps://t.co/reACoytyxh pic.twitter.com/jlUuBuWpiS— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) May 30, 2018
NFL 2017
Week 1
Ravens @ Bengals
5 short – 2 deep coverage
ディープゾーンに流れてきた3人のレシーバーに対してしっかり3人のディフェンダーがついている。https://t.co/reACoytyxh pic.twitter.com/nw3GJIOH7m— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) May 30, 2018
NFL 2017
Week 2
Texans @ Bengals
パスカバーのバリエーション
ウィークサイドへのローテーションhttps://t.co/reACoytyxh pic.twitter.com/EfW6I1uwb9— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) May 30, 2018
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Week 3
Bengals @ Packers
左サイドから3人のレシーバーを送り込まれるがカバーを破綻させずしっかりマークできている。https://t.co/reACoytyxh pic.twitter.com/3EFbMydDNc— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) May 30, 2018
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Week 3
Bengals @ Packers
Coverage Sackhttps://t.co/reACoytyxh pic.twitter.com/efPWVyOwrW— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) May 30, 2018
NFL 2017
Week 3
Bengals @ Packers
Coverage Sack 2https://t.co/reACoytyxh pic.twitter.com/Vr64f1vhsm— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) May 30, 2018
弱点としては、「守り方が常に一本調子である」ことがまず挙げられます。「緩く引いて守る」基本方針がしっかりできている一方で「もうこれ以上得点はやれない」「このドライブはここで切らないといけない」という場面で踏ん張りが利きません。また各ユニット間のマッチアップを重視するため、そのマッチアップにおける自軍の劣勢がそのまま試合に反映されてしまいます。
NFL 2017
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NFL 2017
Week 9
Bengals @ Jaguarshttps://t.co/reACoytyxh pic.twitter.com/Ym6V0pfsX7— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) May 30, 2018
NFL 2017
Week 9
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あと、これはアライメント上の特徴ですが、ボックスエリアのディフェンダーの密度が低く、ここを衝かれるとロングゲインに繋がる恐れがあります。
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Week 2
Texans @ Bengals
ボックスエリアがスッカスカhttps://t.co/reACoytyxh pic.twitter.com/dCLvAmiK6j— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) May 30, 2018
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Week 2
Texans @ Bengals
ボックスエリアがスッカスカ２https://t.co/reACoytyxh pic.twitter.com/MnFNonVYrc— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) May 30, 2018
NFL week 7
Steelers @ Bengals
ボックスエリアがスッカスカ３https://t.co/reACoytyxh pic.twitter.com/fg8iKzHOVi— ケチャ[kétʃə] (@toosourketchup) May 30, 2018
まとめ
Bengals のディフェンスは基本的に1試合に大量失点しないことを目標にしています。その目標達成のキーとなるのは
- 各ユニットの競争力を高く保つ
- パスカバーのアサイメントの徹底（特にディープゾーン）
- Safety を冗長性の確保と他ユニットのサポートにと巧みに使い分ける
ことです。このディフェンスは「オフェンスが常に30点近く獲る」ことを前提にするなら意味をなすと思われます。一番真価を問われるのは「勝負所で我慢が利くかどうか」でしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございました。